「蜜醸」
『春と修羅 詩稿補遺』に、「蜜醸」という詩がある。校本全集の校異に(580P)、『本篇を文語詩に改作したものが、第五巻所収「[林の中の芝小屋に]下書き(1)である。』とある。
此処で説明をしたいのは、文語詩に改作されたのは「蜜醸」かどうかである。
「蜜醸」に出ている人物「こっそりひとり立っている利右門」さん。此処の詩の場所も大体見当が付くが、今ならまだ桜の古老なら誰でも「利ッコさん」と言ったら知っているであろう。お断りをしておくが、当時は「蜜醸」は何処の家庭でも、何かの行事には必要欠くべからざるもので、特別の家だけではなかったのである。
「蜜醸」の『(1)下書き(一)』は「林」で、『(2)下書き(二)』は「蜜醸」である。校異の説明が『なお、本稿表の下隅に鉛筆でやや大きく「文語」と記入されており、裏面左半、上よりには、鉛筆で、文語詩[林の中の芝小屋に]下書き(一)が記されている。』とある。まだ説明がなお続くのであるが、「文語詩[林の中の芝小屋に]」は、詩の内容からみて「蜜醸」とは無関係であろう。
「かくし念仏」との関連で上記のことを確認して置きたいのである。
注 「林の中の芝小屋に」下書き(1)と、「蜜醸」(1)下書き(一)は編集者が同じ系列にしている。下書き(一)は同じであるとしても、「林の中の芝小屋に」の「(2)下書き(二)」で、「法印の孫娘」の下書きがある方を採られたなら、「校異」での説明が分かり良かったと思はれる。くどい様だが、どちらも下書き(一)では同じ内容であるが、文語詩『林の中の芝小屋に』と、『蜜醸』は内容の違う作品である。
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