W・モリス 無何有郷だより
「大正15年春の岩手国民高等学校および同年夏以降の羅須地人協会で講演された」 賢治全集の雑纂に修められている「農民芸術概論」に関連のある本ではないかと思われる。
岩波文庫の「ユートピアだより」と量的にもあまり変わりはない完訳版です。
写真の中の「第一章 議論と寝床」の二行目に「革命」の語句が見えますが、布施のこの訳は再販がされたのであろうか。時代を考えさせられる。訳文は、岩波文庫版の中の「同志」は、こちらは「仲間」になっています。このような違いはありますが、内容が大変分かりやすく、かつ読みやすい本です。岩波文庫の目次と比較されて写真をご覧下さい。
マリロ・フロムの「宮澤賢治の理想」のように、「農民芸術の興隆」を採りあげないと、「ウイリアム・モリスに賢治が関心をもつようになったのはおそらく室伏の著作を通じてだったと思われる」(131頁)となる。「農民芸術の興隆」の内容からして、そして「農民芸術概論」の各処を見たときに、モリスの「無何有郷だより」の中の新しい時代えの希望の宣言を、賢治は情熱を込めて語られたのであろう。
賢治は、W・モリスの「無何有郷だより」の新しい本を手にして、この本の感動的な内容が、自己の理想に生まれ変わるのである。この本の出版されたのが、講演の時期とも重なることが最も大事か。
(写真画像上をマウスポインターで右クリックして、ひらくを左クリック、画像が開きましたなら、移動してご覧下さい)
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