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賢治参考図書

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2007-09-23

 増水

  二十一日のニュースに、「北上川流域大雨による被害」が報じられていた。

 昨年の十一月初めに「増水」と「下ノ畑」に触れた。「春と修羅 第三集」の『 [ 七三○ノニ ] 増水』本文は、一見理解しやすい詩文である。しかし「校異」を読むとなかなか複雑であることが感じられる。此処では前回の補足をかねたわたくしの疑問を提示したい。

  詩文 三行目と四行目

  鉄舟はみな敝舎へ引かれ

  モーターボートはトントン鳴らす

 当時、鉄舟は工兵隊の舟であったと、わたしは簡単に考えていた。敝舎も工兵隊の兵舎と読んで、何の不思議とも感じていなかった。ところが「新 宮澤賢治語彙辞典」に「敝舎」の解説があり、そこには「敝屋(へいおく)」「粗末な小屋を言ったのであろう。」「北上川に架設された非常救急用の鉄のボートの格納庫をさしてのこと。」とある。 

 さて、校異 (2)下書稿(ニ)の手入れを読むと、「敝舎」の敝にママのルビがある。これは何を指し示しているかわたしには良く解らない。ただ、工兵隊の鉄舟であるなら、わざわざ北上川に粗末な架設用・非常救急用の格納庫などを作らずとも、直ぐ近くに兵舎があるので、敝屋などを作らずともと考えられるのである。下書きでは、[ 工兵たちの→削る ] 鉄舟は になっているのを読むと、明らかに工兵隊の関連で、兵舎をさしていると考えられる。

 「下ノ畑」は他にも書いたので省略する。

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コメント

 お久しぶりです。

 「敝舎」に関するご意見、私も同感です。
 全集の「校異篇」で、「敝」の字に「ママ」と注記されているのは、校訂者としてはこれは作者の「書き間違い」と考えるが、あえてそのままにしてあるという意味でしょうから、校訂者も、これは「兵舎」の誤記であると判断していたのでしょう。
 ご指摘のように、推敲途中のある段階では、「工兵たちの鉄舟」となっていたのですから、やはりその舟は「兵舎」へ引かれて行ったと考えるのが自然です。

 『新語彙辞典』の方は、作者の誤記と考えずにそのまま「敝」として解釈しようとしたのでしょうが、かなり無理があると思います。
 説明の中で最初に「敝屋」と言い換えていますが、この言葉には、自分の家の謙称としては「粗末な家」という意味はあっても、一般的には「壊れた家」のことです。それを「屋根と柱だけで四囲の壁はない家」という意味だとするのは、ちょっと無理がある感じです。
 また、「敝屋」のほぼ同義語としては、他に「敝廬」「敝居」という語は辞書に載っていますが、そもそも「敝舎」という言葉は、一般的に実在するのでしょうか。作者による「詩的造語」と考えようというのでしょうか。

 やはりここは、「兵舎」の誤記だろうと、私も思います。

 浜垣様
 こんにちは。 ご無沙汰しています。
 兵舎についての不明の所のご教示と、わたくしの説明不足を補って下さり、有難う御座いました。
 「全集」の「目次」の次にあります「凡例」に、良く書かれていますよね。最初の「語彙辞典」(1989年ーS64)も、「校本 全集」(S51年)よりも後に作られていますから、「語彙辞典」の著者は、「凡例」は見ておられたわけですよね。先生の明快なご説明、有難う御座いました。
 先生のホームページ、いつも拝見をしています。斬新的な内容いっぱいで、いろいろと教えられています。感動とエネルギーを頂戴しております。
 今後ともご教導を宜しくお願い致します。
 

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